二十年程前の最初で最後の海外旅行。
ワイキキのとあるホテル。三泊四日の最後のディナーは最上階の高級そうなレストラン。
料理とワインで満足した後はほろ酔い気分でお支払い。最終日の夜という事で財布の中身は10ドル札が7枚のみ、残りの勘定はポケットの中から1ドルコインでお支払い。
ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ・・・ カウンターの中には髪金美人が二人とバリッとした服装のボーイさん。
シックス、セブン、エイト、ナイン、テン・・・ 笑顔だが髪金美人の二人も間が悪そう。
イレヴン、トエルヴ、サーティーン・・・ 自分でも「どこまで数えりゃいいんだよ!」と焦りと気まずさで顔がこわばり始める。
フォーティーン、フィフティーン、シックスティーン・・・ 俺の彼女も素知らぬ顔でその場を遠ざかる。
セブンティーン、エイティーン、ナインティーン・・・ 「もう少しでフィニッシュだ・・・」
トエンティ、トエンティワン・・・ ここでバリッとした服装のボーイさん、カウンターに並んだ21枚の1ドルコインを見つめながら笑顔でこの一言。
” You are a rich man ! ”