畿内ツーリング 興福寺の鹿

畿内ツーリング 興福寺の鹿

興福寺の境内には多くの鹿がいて、当然として観光客は餌を与えたくなる訳であり、そこでまた需要と供給の関係で地元もおばさんたちが鹿せんべいなるものを机に並べて販売していたのである。
鹿たちは観光客が代金を支払い鹿せんべいを受け取ると、トコトコと観光客に近づいてその鹿せんべいを頂戴するのであるが、絶対におばさんの机に山積みにされた鹿せんべいには手を出そうとはしないのである。
小三治師匠の「付き馬」という落語に浅草・浅草寺の境内でハトのマメを売って生活をしておきながらハトが売り物のマメを突くと棒でハタいて追っ払うマメ売りおばさんを描写するとことろがあったのだが、奈良の鹿もそういう事なのかと思っておばさんたちの手の届く範囲を目で探してみたが、流石に鹿を追い払う棒はなかった。
もしかしたら興福寺の鹿は人間以上に世渡りをよく心得ていているのかもしれないと、ふと感じたのだった。