南会津の出来事

南会津の出来事

俺は9連休の盆休みを利用して再び北海道の旅に出た。
仕事を上がってアパートに帰宅後、風呂に入り洗濯を終わらせ就寝、翌AM3:00に出発。
星の輝く深夜、国道4号線を北上し、空が白んできたのは宇都宮辺りだったと記憶する。そこから日光に入り、121号線の山道をさらに北に向かった。
南会津に入ったのは正午過ぎだったろうか。異常な睡魔に襲われた俺はバイクを田園地帯の路肩に止め、地面に座り込み休憩。そこに遠くから歩いて来たモンペ姿のお婆さんから笑顔で「こんにちは」と挨拶された。「こんにちは」と笑顔で返事を返したものの「単車に乗ってやって来たどこの誰やら判らない馬の骨。おまけに地面に座り込んだ行儀の悪い男に挨拶するなんてなんと心のいい人なんだろう」と驚いた。そこから数キロ進んでまた睡魔に襲われたため、再び止まりバイクに打っ伏していると、またまた通りかかったモンペ姿のお婆さんから笑顔で「こんにちは」。顔を上げ「こんにちは」と返すが、不思議に似たシチュエーションだったため、一瞬「エッ!さっきと同じ人?まさか、ショートショートじゃあるまいし・・・」と疑ってしまった。遠ざかって行くお婆さんの背中を眺めながら、会津地方とはこんな気風の土地柄なのだろうかと少し温かい心持ちになってしまったのである。
その後、眠気も醒め米沢、仙台、気仙沼を通り、その日は宮古で宿泊したのだった。