平安時代の末、栄華をきわめた平家の勢いにも陰りが見えはじめ、源氏によって都を追われた人々は西国の各地に隠れ住んだ。この唐原(とうばる)の里にも、平清盛の息子である平重盛の内室と、千姫、福姫という2人の姫たちの落人伝説が残されている。地元の有力者である原田種直を頼り、数少ない家来たちとともに逃げ延びてきた姫たちは、安住の地を得たかに思えたのもつかのま、源氏の追手によって殺害されてしまったという。いつの日にか都に帰られることを待ち望んでいた幼い姫たちは、下界を望む大石の上に立ち、遠い都での華麗な生活を懐かしんでいたと言われる。都見石(みやこみいし)と呼ばれるこの大石は今もこの地に残されており、往時の悲話を今に伝えている。
現地にある案内板より