ずいぶん昔の出来事。突然、携帯が鳴った。
電話に出ると、いきなりの怒声。
「こらぁ~○○! 早く金を返さんかぁ!」
○○ではない事を告げると「何じゃ~こらぁ~。」とこの番号は携帯だから、お前は○○に違いないという趣旨の事を怒鳴られた。
再び○○ではない事を告げると、ガタガタ言わずに早く金を返せという事を激しい口調で告げられた。
不思議なもので、これだけ強気で迫られると一瞬『あれ、俺って金借りてたっけ・・・』と、脳ミソの中の記憶を隅々までサーチしてしまった。しかし借金の記憶など出てくる筈もない。『それに俺、○○じゃねえし!』と我に返り電話を切った。電話はもう掛かって来ることはなかった。