究極の堰・山田堰

朝倉市山田にある「山田堰」は筑後川の北側の農地に農業用水を取水するため江戸時代に130年ほどかけて建造されました。
筑後川の北側の地域は筑豊地区と筑後平野を隔てる山地の裾野に当たり、高低差で筑後川の豊富な水を利用する事が難しかったのかもしれません。これを打開するために建造されたのが「山田堰」で、用水を田地に送った水路を「堀川用水」と呼びます。
「山田堰」は川をせき止め水の流れを変えるのではなく、川の底に巨石で石畳を敷き川底を僅かに盛り上げて一部の水を「堀川用水」へ導く方法が採られています。このため水かさが少ないときは堰は現れますが、降雨で水量が増すと水没してしまいます。これは昔から氾濫を繰り返す筑後川に幾度となく堰を押し流された江戸時代の地元民たちが考案した自然の力に逆らわない究極の堰の形なのかもしれません。
「堀川用水」は現在も農業用水として利用され、この「山田堰」より1500mほど下ったところに朝倉市の観光名所「朝倉三連水車」が置かれています。


写真左側が「堀川用水」へ流れる水路で、中央が「山田堰」、右手が筑後川本流になります。