『自省録』善事をなして悪くいわれるのは

「善事をなして悪くいわれるのは王者らしいことだ。」
 
これは『自省録』の第7巻に書かれている言葉です。
アウレーリウスも人間ですから、善事をなして悪くいわれた時には腹が立ったのでしょう。
「人の顔は心の命ずるままに表情を表すのに、心を自身の命ずるよう操れないのは、恥ずかしいことである。」と自身を戒めています。そして次のように続けます。
 
「物事にたいして腹を立てるのは無益なことだ。なぜなら物事のほうではそんなことにおかまいなしなのだから。」
 

アウレーリウスのような権力者でも悪くいわれる事があったのは驚きですが、自身は全体の利益につながる事と考えていても、ある人にとっては不利益だったり、プライドを痛く傷つけられてしまうことはありそうなことです。ただ個人のプライドや利益を守るための陰口は褒められたものではありません。自省しなくては・・・